文章には様々な種類がある。文章が集まったものが本だから,本にも様々な種類がある。本の内容を要約したり,批判的に検討したりして紹介するためには,本(文書)の種類を念頭に置き,その文章の種類,特質に応じて紹介するのが,すっきりと整理するためにいいだろう。
まず文章の分類として,大きく分けて文学と実用文があることに異論はないであろう。文学は個々の文章の個性が大きいから,ここでは実用文の分類を考えよう。
実用文の分類にも様々な基準があるようだが,おって正確なものにするとして,ここではとりあえず,叙述の方法を,事実伝達と意見主張とに分け,叙述の対象を,具体的世界と抽象的世界に分けて見よう。その結果,次のようになる。
対象 /方法 | 事実伝達 | 意見主張 |
具体的世界 | 記録文 | エッセイ |
抽象的世界 | 説明文 | 論説文 |
実際は,一つの文章(本)も,これらの間に広く複合的に分散しているというべきだが,事実伝達と意見主張は明確に区別しようということはよく言われることである(「名著の誉れ高い「理科系の作文技術」がそのはしりである。)。
例えば,法律書の内容は,具体的世界(事実)及び抽象的世界(法令)についての事実伝達が主眼だが,著者の解釈という意見主張も含まれる。その結果,事実伝達の正確性,適格性の他,意見主張の論理性,妥当性が評価の対象となろう。
いずれにせよ少なくてもこのような基準を持って文章(本)をとらえることは有益だ。
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