登山をするにあたって「地図」が重要であることは言を俟たない。山のベテランは,初心者が「地図」も持たずに入山することに眉をひそめるし,初心者は初心者なりに「登山地図」こそ持って行くものの関心は「コースタイム」だけ,2万5000分の1の「地形図」は買うのも面倒だし,実際持って行っても宝の持ち腐れだ。しかも「地図」が読めないという劣等感がうずく。
私は登山の初中級者であり,「登山地図」がない山域では「地形図」を持っては行くものの,率直にいえば,実は頼りは,ガイドブックの「簡易地図」であることも多い。
ただし,それとは別にかなり早い時期から安心料としてGARMIN社のGPSを持って行くことも多く,一時期,ルート設定とログの取得に熱中したこともある。ただし事前の準備もかなり面倒だし,歩いている最中にこれに気を取られるというのも問題で,この2,3年はほとんど使っていなかった。
それで最近何気なく新しいGPSの広告をみてみると,GPSに入れる地図も進歩を遂げたようで,10メートルの等高線だけではなく,「山と高原地図」の登山道がすべて収録されているというのだ。
どうせ新しい機種でしか利用出来ないのだろうと思って調べてみると,私が持っている60CSXでも,ソフトウエアをバージョンアップすると4ギガのマイクロSDが利用できるようになり(実際は,8ギガも大丈夫であった。),この地図も利用できるというのだ。そこで早速地図だけ買ってみた。
これ(というのはGPS+この登山地図)は,これまでの登山者と地図の関係を大きく変える画期的なツールである。
まずGPSの最大の機能は,目的とする場所を正確に設定でき,どんな経路をとおろうと,そこを失わないことだ。その目的地に対し,10メートルの等高線及び登山道が記入された地図上での自分の現在地が正確に分かるわけである。これだけの機能があれば,少なくても「道迷い」ということは,原理的にあり得ない。
もちろん,GPSは機械であるから,故障や電池切れにはどうしようもないし,その画面は小さいし,収録されたデータが間違いのこともある。しかし事前の点検,登山地図や地形図との照合をすればこのような不測の事態は可及的に防ぐことが出来る。
私は今わくわくしている。これがあれば今まで道迷いが怖くて行くのを控えていた山にも,行くことが出来るだろう。例えば,和名倉山から秩父湖に下りることも可能かも知れない(それでもやめた方が良いか。)。とにかく世界が広がる。
それと特筆すべきはパソコン上で2D,3D表示が出来,登山道と登山口,山小屋等の情報を併せて,パソコン登山が出来ることだ。これも本当に楽しい。
というわけでこれまで登山用のハンディGPSは高価なおもちゃであったが,やっと実用の域に達した。しかも極めて高レベルでである。一度試してみることをお薦めしたい。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。